寺院活性化のための書籍 〜著書紹介
著書『人の集まるお寺のつくり方』
檀家の帰属意識をどう高めるか、新しい人々をどう惹きつけるか
薄井秀夫 著
鎌倉新書 発行 B5版 156ページ
9,000円(税別・送料込み)
弊社代表の薄井が平成17年に書いた本です。
開かれた寺院になるためのガイドブック。
日本の寺院に未来はあるか?
現代においては、人々の「お寺離れ」が進み、地域の人が寺院に見向きもしなくなっただけでなく、檀家ですら寺院と疎遠になっているというのが現実である。
「法事をやらない家が増えている」
「行事に人が集まらなくなっている」
「檀家が散骨したいと言い始めた」
「戒名はいらないという檀家がいる」
そんな話をする住職の声をよく聞く。
その傾向がこれからも進んでいくことは確実で、「10年後、20年後にうちの寺はどうなっていくのか」「息子の代になっても、やっていけるのか」と感じている僧侶も少なくない。このままいけば、ほとんどの寺院で、檀家や葬儀の数が少なくなっていくことは確実である。
社会環境の変化で、檀家や地域の人たちとのコミュニケーションが難しくなっている
本書は、寺院がこうした事態に追い込まれているのは、社会環境が変化し、檀家や地域の人たちとのコミュニケーションがうまくいかなくなっていることに原因があると指摘する。
そもそもコミュニケーションは、葬儀・法事などの供養の場、施餓鬼や花祭りなどの仏教行事の場だけでは、限界があるというのだ。
寺院を核に新しい地域コミュニティをつくる方法
それゆえ、コミュニケーションの機会を増やしていくことが大切だと本書は言う。
機会を増やして、そこに新しい地域コミュニティをつくることこそが、寺院を現代に復活させていくうえで重要だというのだ。
たとえばそれは、子ども会であり、福祉活動である。
またコンサート、落語会、婦人会、老人会もそれである。
こうした活動を通して、人々との関係を深め、寺院を核にコミュニティをつくっていくことが大切なのである。
あまり仏教だけにこだわりすぎると、お寺は敷居の高い存在になってしまう。
本書では、人々とコミュニケーションをより深くしていくための方法と、それを実現させてきた20の寺院の具体的なケーススタディーが掲載されており、これによって自坊にあった方法を考えていくことが可能だ。
実践している寺院からこそ学ぶことができる
著者は、鎌倉新書の月刊誌『仏事』などを通して、教化布教や寺院運営に関する取材を長年続けており、本書ではその中で特に参考になる寺院の活動を取り上げたという。
そして、「本書に書いたことは、すべて実践している寺院から、活性化に成功した寺院から学んだこと。他のたくさんの寺院活動を見ることで、自坊にあった方法が見えてくる」と話している。
本書ではその具体的な方法を、実際に活性化させてきた寺院のケーススタディーから学ぶことができる。
現代社会は常に変化している。
だからこそ教化布教と寺院運営は、常に時代にあった方法が求められるのである。
『人の集まるお寺のつくり方』 目次
- 序論 コミュニティづくりで寺院を復活させる
-
- 寺院はほんとうに必要とされているのか
- コミュニティをつくることが寺院活性化の鍵
- コミュニティづくりを計画する
- ポスト檀家制度の可能性
- ケーススタディー編
-
- 若い世代の寺院活動への参加が、地域の中心としての寺院を復活させる
真言宗豊山派宝蔵寺(茨城県三和町) - 子どもが遊べるお寺にするために大人が集う
日蓮宗法田寺(神奈川県中原区) - 寺院活動の協力者をどう育てるか
真言宗豊山派常楽院(東京都板橋区) - 寺に来やすい環境を整えることから教化は始まる
真宗大谷派因速寺(東京都江東区) - 教化団体をつくって寺院を活性化する
浄土宗宗仲寺(神奈川県・座間市) - 場や機会を提供して地域に貢献する寺院
浄土宗寿光院(東京都江戸川区) - ゼロから始めた都市開教寺院
浄土真宗本願寺派慈船寺(東京都世田谷区) - 地域共同体の核としての寺院を復活させる
新義真言宗延命寺(東京都葛飾区) - 地域との関わりが寺院の存在価値を復活させる
高野山真言宗別格本山金剛院(東京都八王子市) - 感動の場を提供し、仏縁を広げていく
浄土宗清林寺(東京都文京区) - 教化布教に欠かすことのできない寺族の存在──住職夫人が檀信徒を巡礼旅行に連れて行く──
臨済宗妙心寺派龍雲寺(東京都世田谷区) - 現代版寺子屋をどう活性化させるか
日蓮宗實相寺(東京都大田区) - 人が集まる生きた寺院に──声明と音楽の献楽法要──
日蓮宗蓮華寺(東京都中野区) - いずみ文庫と泉福寺の地域活動
真言宗豊山派泉福寺(東京都江戸川区) - 寺から巷へ──お寺講とフリーマーケット布教──
真言宗豊山派密蔵院 - 参加者が企画運営していく寺院活動
真言宗智山派観蔵院(東京都練馬区) - 明るく生きるための教えを実践する
浄土宗蓮馨寺(埼玉県川越市) - 気軽に何でも相談できる寺として
日蓮宗妙宣寺(埼玉県さいたま市) - 人々のニーズに応えていくために──寺院にとってイベントはどんな意味を持つのか──
日蓮宗経王寺(東京都新宿区) - お寺づくりは町づくり
曹洞宗慈眼寺(埼玉県秩父市)
- 若い世代の寺院活動への参加が、地域の中心としての寺院を復活させる