現在の新型コロナウィルスをめぐって、寺院活動に最も影響が出ているのは、年忌法要じゃないかと思います。
施主から法事を延期もしくは中止する連絡があった、あるいは、お寺から確認の電話をして中止することになった、そもそも申込みが無かった、ということは、どの地域でも一件二件はあると思います。特に首都圏では影響が大きく、少なくとも8〜9割は無くなっていて、場合によっては全て法事がなくなったというお寺も少なくありません。
こればかかりは、対策しようが無く、途方に暮れているというお寺も多いと思います。
そんな不安の中、web会議システムなどを利用したリモート法要に取り組むお寺も出てきました。他の寺が、そうした取り組みを試みている話を聞いて、気になっているお寺も多いでしょう。
それが定着するかどうかという議論は、ひとまず置いておいて、ひとつ提案をしたいのは、こうした状況だからこそ、「リアルな法事」を主張したらどうかということです。
なぜなら、「人と会う」ということが制限されている状況だからこそ、「人と会う」ことの大切さ、多くの人が実感しているからです。
例えば、ちょっと思い出していただきたいのは、最近、人と電話で話すと、会話時間が長くなっていないでしょうか? それは明らかに、人と接する機会が減っている中で、人と接することへの渇望が高まっていることの証拠です。
今、日本中の人は、間違いなく、人と会うこと、身体を動かしてどこかに行くこと、に対する欲求が高まっています。オンラインでのコミュニケーションが普及しているのも確かですが、むしろ、それに物足りなさを感じていたり、違和感を感じていたりする人のほうが多いのが現実です。
新型コロナウィルスは、これからも長い期間、私たちの生活を脅かし続けると思います。しかし、これが永遠に続くわけではありません。ウィルスとうまく折り合いをつけて普通の生活に戻る時期は必ず来ます。
そして、終息に向かうタイミングこそが、家族親類が集まって法事をすることを説くチャンスなんじゃないかと思います。
檀信徒の皆さんには、これを機会に、もっと法事の大切さを再認識してもらいたいと思います。お寺の本堂に、あるいは自宅の仏壇の前に皆があつまり、お香の薫りの中で、お経の響きを身体全体で感じ、法要後に、親類と食事をしながら話をすることは、まちがいなく人の心に安らぎを与えると思います。
そして、こんな時期だからこそ、寺報で、あるいはリーフレットで、法事の大切さを説いてみたいと思います。
手前味噌になりますが、寺院デザインでは、法事の大切さを説くためのリーフレットを用意しております。ぜひご利用いただければと思います。
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