寺院のコンサルティング事業を行っている弊社ですが、ホームページの制作についての相談をいただくこともしばしばです。正直、ホームページの相談は、もうそろそろ無くなるかなと思っていたのですが、昨年から今年にかけて、なぜか例年の倍くらいの相談数がありました。
相談を受けるにあたって、ホームページをつくる目的を聞くと、「お寺のことを、もっと知ってもらいたい」「檀家以外の人と、ホームページで、もっとコミュニケーションができるようにしたい」というような、どうにもぼやっとした答えをする方が少なくありません。
最近では、「ホームページを通して、檀家になってくれる人とつながるようにしたい」「菩提寺の無い人が、ホームページを通して、うちの寺に葬儀を依頼して欲しい」といったような答えも増えています。
どれももっともらしい内容ですが、現実にはホームページだけで、こうした目的を実現することは厳しいでしょう。
インターネットというのは人間の欲求や行動と深い関わりがあり、その人間の欲求や行動のパターンにもとづいて考えてつくらないと、どんなに充実したホームページをつくっても、それが機能することはありません。
大切なのは、人がお寺のホームページを探す、あるいは検索する、というのは、どんな時か、ということです。
例えば、檀家の場合、菩提寺のホームページを見ようとする機会は、とても限られています。最も多いのは、法事や葬儀をする時期が近づいてきて、法事や葬儀の段取りを知ろうとする時でしょう。あとは、施餓鬼や彼岸会などの行事に行こうか行くまいか迷っている時に、参考程度に見るといったところです。
一方、檀家以外の人が、お寺のホームページを探そうとするのは、どんな時でしょうか(観光は別にして)?
例えば、「坐禅のできるお寺を探したい」という人はいるでしょう。ただ、いることはいるが、数の上ではかなり少ないのも現実です。これは「法話を聞けるお寺を探したい」「イベントをやっているお寺を探したい」という人も同様です。
現時点で、檀家以外の人が、お寺のホームページを探す動機で最も多いのは、祈祷です。厄払いや水子供養などの祈祷をしてくれるお寺を探すということです。
ついで永代供養墓を探すという人も多いようです。墓地を探す人もいますが、これは多くの場合、石材店のホームページにアクセスしており、お寺のホームページにはなかなかたどりつきません。
案外多いのが、永代供養墓や墓地の案内を、他のところ(チラシなど)で見て、「どんなお寺かな」と確認しようとしてアクセスする人です。こういう人は、永代供養墓や墓地の記事だけじゃなく、お寺の活動の写真とか、住職のブログとか、お寺の雰囲気がわかる記事を読もうとする傾向もあります。
「お寺のホームページを探すという人は、どんな人なのか?」
「どんな動機でホームページを探すのか?」
人がお寺のホームページにアクセスしようとする時には、明確な動機があります。ありもしない動機に基づいてつくったホームページは、ほとんど成果を生み出すことはできません。どんなに充実してきれいなものをつくっても、意味の無いホームページができるだけです
そのためには、お寺の都合でものを考えるのではなく、檀家の感覚、一般の人の感覚でものを考える必要があります。そして、人々が、どんな動機で、お寺の情報を知ろうとするのか、ということから考える必要があるのです。
そして、ホームページをつくるのならば、まず「このホームページで、何を実現したいか」を考えてださい。そしてその実現したいことは、どういうホームページをつくればいいのかを考えてください。それがお寺の独りよがりになってはなりません。
また重要なのは、ホームページは、それだけで成果をあげることができるわけではないということです。リアルの世界と連動させることができて、初めて成果があがることも忘れてはなりません。
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