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既存檀家対象の永代供養墓が増えている

 弊社に依頼のあるコンサルティングに関しては、あいからず永代供養墓に関するものが少なくありません。ただ、相談内容ですが、ここ一〜二年、だいぶ傾向が変わってきています。
 
 これまで多かったのは、新しい縁を得たい、つまり檀家ないしは会員を増やしていきたいというコンセプトのお寺です。永代供養墓を建立して、菩提寺を持たない人を対象に募集をするというものです。布教型の永代供養墓と言うことができるでしょう。
 
 ところが、最近相談が増えたのは、現在の檀家を対象とするコンセプトの永代供養墓に関する相談です。
 
 檀家であっても、子どものいない家、娘しかいない家、あるいは子どもはいるが結婚しないまま歳をとってしまっている家など、将来、お墓の承継に問題を抱えているケースは少なくありません。今後百年で日本の人口は現在の三分の一になると言われている中、ほとんどの家に遠からずお墓の承継の問題が起こってくるでしょう。
 
 さらに地方のお寺の場合、子どもはいるけれど、その子ども達が首都圏に住んでいるという檀家が多いという現実があります。そうすると、施主が亡くなると、遠方の墓を維持していくことが難しいというケースが増えてきます。
 
 これに追い打ちをかけたのが、マスコミによるここ一〜二年の「墓じまい」報道です。潜在的に矛盾をかかえていた人たちが、この報道で一気に表面化し、檀家からのお墓継承に関する相談が増えているのです。
 
 もちろん、こうした報道に腹をたてている僧侶も多いでしょう。しかし、現実に相談を受けたお寺は、困っている檀家、不安になっている檀家に対して、なんとか応じていかなくてはなりません。
 
 そして、こうした状況にある檀家のほとんどは、墓じまいをして、そこにあった遺骨を永代供養墓に移すということを望むのです。
 
 ところがこの場合、お寺に永代供養墓が無いと、檀家は墓じまいをしたあげく、他のお寺の永代供養墓に移るという選択肢を選ぶことになってしまいます。お寺としては、長年、つきあってきた檀家が、永代供養墓が無かったばっかりに、他の寺に移ってしまうということになってしまうのです。
 
 そこで「うちの寺にも、永代供養墓が無いとまずいな」ということになり、建立を考え始めるのです。
 
 中でも地方のお寺は、真剣です。遺骨を持って都会の寺に移ってしまうくらいなら、自坊の永代供養墓に改葬して、少しでも縁を持ち続けてもらいたいということになります。
 
 布教型、拡大型の永代供養墓はすべてのお寺に必要なわけではありません。しかし既存檀家を対象にした永代供養墓は、今後、全てのお寺で運営する時代が来るのかもしれないと思っています。
 
 

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